中国は、先週ワシントンで行われたアメリカとの閣僚級の貿易交渉でアメリカ産の農産品の輸入拡大で合意し、アメリカは、予定していた追加の関税措置の発動を見送りました。
中国外務省の耿爽報道官は15日の記者会見で、中国の企業は国内市場での需要に基づいてアメリカ産の農産品を輸入しているとして、ことしすでに大豆2000万トン、豚肉70万トン、小麦23万トンなどを購入したと具体的な輸入量を明らかにしました。
このうち大豆については、去年の輸入量の1600万トンをすでに上回っていることになります。
そのうえで、耿報道官は「中国は、さらにアメリカ産の農産品の購入を加速させる」と述べました。中国としては、輸入実績をアピールすることで先の合意を着実に実行する姿勢を示し、今後の交渉を有利に進めたい意向があるものとみられます。
香港では、ことし6月以降、条例の改正案に反対する市民が大規模な抗議活動を続け、先月、政府トップの林鄭月娥行政長官は改正案の撤回を表明しました。
これを受けて16日に開会する立法会では、政府幹部が経緯などを説明し改正案を正式に撤回することになっています。
また、立法会では今月、政府が施行した抗議活動の際にマスクなどで顔を隠すことを禁じる規則についても審議される予定です。
この規則は、政府が立法会の承認を経ずに規則を定められる条例を52年ぶりに発動して施行しましたが政府としては、改めて承認を得ることで正当化したい考えです。
ただ、市民の間では、デモ隊への警察の対応を検証する独立調査委員会の設置など、政府に求めてきたほかの要求が受け入れられていないことに加え顔を隠すことを禁じる規則が施行されたことで反発がさらに強まっていて、抗議活動は今後も続くとみられます。
アメリカ議会下院では15日、本会議が開かれ、香港での人権の尊重と民主主義の確立を支援する法案が全会一致で可決されました。
この法案は、香港に高度な自治を認めた一国二制度が中国政府によって損なわれていないか検証し、香港の抑圧に関わった中国の当局者への制裁の発動を可能にします。
議会下院では、採決を前にペロシ下院議長が演説し、中国政府は香港の一国二制度の約束を守っていないと批判したうえで、「この4か月間、香港の若者たちは、自由、民主主義それに正義を失うことはできないというメッセージを世界に発信してきた」と述べ、若者の行動をたたえました。
そのうえで、「われわれは重要な価値観を犠牲にして金のために魂を売ることはしない。香港に対するわれわれの支援の声が届くことを期待する」と訴えました。
この法案をめぐっては、中国政府が強く反対しているものの、アメリカ議会では、超党派で支持されていて、上院でも近く可決される見通しです。
ただ、トランプ大統領は、法案に署名するか明らかにしておらず、香港の問題よりも中国との貿易交渉を重視していると言われるトランプ大統領がどう判断するかが注目されています。
一方、アメリカ議会下院では、この日、香港の警察に対して、抗議活動を取り締まる装備品の輸出を禁じる法案も全会一致で可決されました。
アメリカ議会下院で、香港での人権の尊重と民主主義の確立を支援する法案が可決されたことについて、香港政府の報道官は「遺憾だ」とするコメントを発表しました。
コメントでは、「中国への返還以来、香港は基本法に基づいて香港市民による高度な自治を堅持してきた。『一国二制度』は香港の繁栄と安定のためにうまく機能しており、これからもこの方針を続けていく」として「一国二制度」は損なわれていないという立場を示しています。
そのうえで、「外国の議会はどんな形であれ香港内の事柄に干渉すべきでない」と反発しています。
さらに、警察のデモ隊への対応については「警察は暴力や破壊行為に対して法律に基づき、適切に武力を行使している」としています。
アメリカ議会下院で、香港での人権の尊重と民主主義の確立を支援する法案が可決されたことについて、中国外務省の耿爽報道官は、コメントを発表し、「強い憤りと断固たる反対を表明する」として、強く反発しました。
そのうえで、耿報道官は、「もし法案が最終的に成立すれば中国だけでなく、アメリカ自身の利益もひどく損なうことになるだろう。アメリカの間違った決定に対しては中国は、必ず強力な対抗措置をとるだろう」として法案を成立させないよう求め、アメリカをけん制しています。
香港の議会にあたる立法会が16日開会し、林鄭月娥行政長官が施政方針演説を始めたものの、民主派の議員による抗議で中断し、代わりにビデオ演説を発表する異例の事態となりました。
立法会はそのまま休会し、予定されていた、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例改正案の撤回の手続きは今月23日に行われる見通しとなりました。
立法会は冒頭、林鄭長官が施政方針演説を行いましたが、民主派の議員が長官の辞任などを求めて抗議の声をあげ、議場は一時騒然としました。
林鄭長官は演説を中断して退席し、代わりに事前に収録したビデオによる演説が発表されました。
立法会はそのまま休会となり、林鄭長官は記者会見で「多くの市民が社会の混乱を心配しており、立法会は政治的な立場を越えて問題の解決に向けて努力すべき時だ」と述べて、民主派の議員らに協力を呼びかけました。
立法会の梁君彦議長は、17日は立法会を再開し、予定どおり林鄭長官が出席して施政方針に対する質疑応答を行いたい、としています。
また16日予定されていた、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案を正式に撤回するための手続きは、今月23日に行われる見通しだということです。
ただ民主派の議員は依然、林鄭長官の責任を追及する姿勢を崩していないうえ、市民の多くが、改正案が撤回されてもデモ隊への警察の対応を検証する独立調査委員会の設置などそのほかの要求が受け入れられていないなどとして反発を続けていて、17日以降、立法会が予定どおり開かれるかは不透明な状況です。
立法会の周辺では、厳重な警備が敷かれる中、民主派の団体のメンバーおよそ30人が集まり、香港政府に対する抗議活動を行いました。
「暴政を許すな」などと声を上げ、今月5日に施行された抗議活動の際にマスクなどで顔を隠すことを禁止する規則の撤回などを訴えていました。
メンバーの1人は、林鄭月娥行政長官の施政方針演説について「香港社会における政治的な対立が激しさを増す中、行政長官は生活の問題に焦点を移すのではなく、われわれの要求に正面から応えるべきだ」などと話していました。
16日はこのほかにも香港中心部のショッピングモールで集会が呼びかけられ、集まった市民は、林鄭長官を批判する大きな横断幕を掲げたりスローガンをちりばめた歌を歌ったりして、抗議の意思を示していました。
立法会の梁君彦議長は、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例改正案の撤回の手続きは、来週23日に行われるという見通しを明らかにしました。
また、今の立法会で審議されることになっている、抗議活動を行う際にマスクなどで顔を隠すことを禁じる規則については、16日から最長で49日以内に審議を終えることになっているとしています。
この規則は政府が今月5日、立法会の承認を経ずに規則を定められる条例を52年ぶりに発動して施行しましたが、政府としては改めて立法会の承認を得ることで正当化したい考えです。
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