米中両政府は先月、貿易交渉で第1段階の合意文書に署名し、中国がアメリカ産の農産品などの輸入を今後2年間で2000億ドル以上増やすことや、知的財産権の保護に取り組むことが盛り込まれました。
この合意を踏まえ、アメリカは日本時間の14日午後2時すぎ、中国から輸入される液晶テレビや時計、家具など1200億ドル分に対して去年9月から上乗せしている15%の関税を半分に引き下げます。
これに合わせて、中国政府もアメリカから輸入されるぶどう、いちごといった果物や原油など1717品目に上乗せしている最大10%の関税を半分に引き下げます。
2年にわたって激しい貿易摩擦が続く中、関税の引き下げは初めてのことになります。
しかし、両国が発動している追加の関税措置は大部分が残ったままです。
さらに、中国は新型のコロナウイルスの感染拡大の影響で景気がさらに減速すれば、第1段階の合意で約束した農産品などの購入を計画どおり進めない可能性もあり、両国の対立が解消に向かうかどうか不透明な状況です。
中国は先月、正式に署名したアメリカとの貿易交渉の第1段階合意で、アメリカ産の農産品などの大規模な輸入拡大を約束しましたが、新型のコロナウイルスの感染拡大によって中国の景気が冷え込めば、約束した規模の購入が実現できない可能性もあります。
米中両国による第1段階合意では、中国がアメリカ産の農産品などの輸入を今後2年間で2000億ドル以上増やすことが盛り込まれています。
ただ、新型のコロナウイルスの感染拡大の影響で中国のことし1月から3月までの第1四半期のGDP=国内総生産の伸び率が4%と、前の3か月に比べて2ポイントも縮小するという試算もあるなど、さらなる景気の減速は避けられません。
ホワイトハウスの高官は今月7日、習近平国家主席はトランプ大統領と電話で会談した際、第1段階合意の合意内容を最終的には守るという考えを示したとしていますが、約束した規模の輸入拡大は難しいのではないかという見方も出ています。
さらに、中国国内では今回の感染拡大を受けて、アメリカ政府が中国全土を渡航情報で最高レベルの「渡航中止」としていることなどに強い反発もあります。
トランプ大統領は第2段階の合意に向けて速やかに交渉を始める構えを見せていますが、新型コロナウイルスの感染拡大が両国の貿易交渉に影響を与えるのは避けられそうもありません。
アメリカと中国の間では、中国製品の流入を問題視するトランプ政権がおととし3月に鉄鋼製品などに25%の関税を上乗せして以来、互いの幅広い輸入品に高い関税を上乗せする貿易摩擦が激しくなりました。
アメリカはその年の7月以降も中国からの工業製品などに繰り返し関税の上乗せ措置を発動し、中国も報復関税で応戦しました。
その後、首脳会談や閣僚級協議で歩み寄りを見せたものの、アメリカ側が中国による国有企業の保護の見直しなど国内の制度改革まで迫る内容を中国側が嫌い、去年5月に交渉が決裂。
アメリカが発動済みの関税を一段と引き上げる事態になりました。
翌月のG20大阪サミットに合わせた首脳会談でも交渉の進展を図りましたが、またも合意には至らず、アメリカは9月に中国から輸入される日用品に15%の関税を上乗せし、摩擦は一段と深刻になりました。
世界1位と2位の経済大国の対立は生産、調達、販売などを世界に拡大してきた各国の企業を直撃し、ヨーロッパ、日本、東南アジアなどの経済にも大きな影響を及ぼしました。
この両国の交渉に変化が見えたのは去年11月。経済の減速を食い止めるためにアメリカとの摩擦を緩和させたい中国側と、大統領選挙が1年後に迫り、農家の支持固めをねらうトランプ大統領の思惑が重なり、部分的な合意を目指して妥協点を探り始めました。
その結果、先月15日にワシントンでトランプ大統領と中国の劉鶴副首相が第1段階の合意文書に署名しました。対立する問題を多く残しながらも、関税の一部を引き下げ合うことにしたのです。
#米中貿易交渉
アメリカ司法省は13日、中国の通信機器大手ファーウェイを銀行詐欺や企業秘密を盗んだ罪、それにアメリカ政府をだました罪など16の罪で新たに起訴したと発表しました。
起訴状によりますとファーウェイは少なくとも2008年から北朝鮮で多くのプロジェクトを手がけてきたものの、国連の制裁決議に違反するため北朝鮮でのビジネスを隠してきたということです。
具体的には北朝鮮に送る荷物にはファーウェイのロゴを付けないよう指示していたほか、送り先も北朝鮮ではなくA9という暗号でやり取りをしていたと指摘し、アメリカ政府に対して虚偽の説明を繰り返してきたと非難しています。
ファーウェイをめぐっては去年7月、アメリカの新聞ワシントン・ポストが北朝鮮の通信ネットワークの整備を支援していた疑いがあると報じましたが、ファーウェイは「北朝鮮ではビジネスをしていない」という声明を出して報道を否定していました。
ファーウェイは13日、声明で「ファーウェイの評判を落とすための司法省の試みだ」と起訴内容を否定し、強く反発しています。
アメリカ司法省はファーウェイを去年1月に詐欺や資金洗浄などの罪ですでに起訴していました。
日本国内で新型コロナウイルスの感染が相次いで確認されていることについて、WHO=世界保健機関でシニアアドバイザーを務める進藤奈邦子さんが、横浜市で開かれている学会の会場で報道陣の取材に応じ「世界中が今後の日本の対応を注視している」と話しました。
進藤さんは日本国内で、相次いで感染が確認されていることについて「中国以外のほかの国では感染経路の追跡ができている。接触者の調査を行って一つ一つ消し止めることで感染は広がりを見せていない。日本だけが少し様相が異なっている」と指摘しました。
そして、和歌山県で医師への感染が確認されたことから「こうした感染症は病院内での感染を契機に大きく広がりを見せるケースがある。患者の診察中だけでなく、マスクやゴーグルなどの感染防護具の着脱の際にも気をつかうなど、院内での感染制御を改めて徹底してほしい」と話しました。
さらに日本で今後、感染の広がりがどうなっていくのかを見極めることが、世界的な対策を考える上で重要だとして「クルーズ船への対応も含め、世界中が今後の日本の対応を注視している」と話しました。
海上自衛隊によりますと、練習艦「しまゆき」と「せとゆき」は、幹部候補生の隊員などおよそ420人を乗せて、今月4日から太平洋でおよそ1か月間の練習航海を行っています。
練習艦は、グアムを訪れたあと、ミクロネシアとマーシャル諸島に入港する予定でしたが、両国から現地の日本大使館を通じて「新型コロナウイルスの感染者が確認されている国からの入国を制限していて、部隊の受け入れは困難だ」と伝えられ、入港を取りやめたということです。
練習艦は、日程を変更してグアムから日本に戻り、沖縄の各地を訪れるということです。
海上自衛隊は「入港の取りやめは非常に残念だが、今後も機会を捉えて太平洋の島しょ国との親善に努めたい」としています。
来月1日に都内で行われる東京マラソンは、フルマラソンの部と10キロの部に合わせて3万8000人が出場する予定で、このうち1800人が中国在住のランナーとなっています。
新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて、東京マラソン財団は、出場を見合わせる中国在住のランナーに対し、ことしの大会の参加料は返金しないものの、来年の出場権を保証すると発表していました。
さらに14日、新たに来年の参加料についても免除することを決め、中国在住のランナーに大会への出場自体を自粛するよう要請することになりました。
財団は新型コロナウイルスの影響が中国の湖北省以外にも拡大し、ビザの発給が停止されるなどの制限が課されている状況では、参加を見送らざるをえないケースが増えるためとしています。
対象はことしの出場権を持つ中国在住のランナーであれば国籍は問わず、参加しないという事前連絡も不要だということです。
中国の習近平国家主席の日本訪問はことし4月上旬を軸に調整が進められていて、日中両政府はこれに向けて、中国で外交を統括する楊潔チ政治局委員が、今月28日と29日に日本を訪れる方向で調整を進めています。
滞在中、楊政治局委員は、北村国家安全保障局長と会談するほか、安倍総理大臣との会談も予定していて、習主席の日本訪問にあわせた具体的な成果などについて、協議が行われる見通しです。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、まん延の防止に向けた協力の在り方などについても話し合われるものとみられます。
これに関連して、菅官房長官は記者会見で、習主席の日本訪問について「予定どおり行うべく、粛々と準備を進める考えだ。日本から延期を求めることは想定していない」と述べました。
習近平指導部がウイルスへの対応に迫られる中、日本政府としては、習主席の日本訪問を予定どおり実現させたいとして、必要な準備を着実に進めていく方針です。
(※「チ」は竹かんむりに褫のつくり)
#日中友好
中国の王毅外相は13日、国際会議への出席に合わせて訪問しているドイツでマース外相と会談し、そろって記者会見しました。
中国外務省によりますと王外相は、感染拡大が続く新型コロナウイルスについて「このところの努力で感染を抑制しつつある」と述べ、最も状況が深刻な湖北省以外で新たに確認された患者の数が10日間連続で減っていることなどを挙げて、対策の効果が出ていると指摘しました。そのうえで「総合的に見て抑制可能で治療することもできる」と強調しました。
また王外相は感染拡大による中国経済への影響についても「いくらかの影響はあるが、一時的なものだ」と述べ、感染拡大が収まれば経済はすぐに回復に向かうという見方を示しました。
王外相としては強気の姿勢をアピールすることで、新型コロナウイルスの感染拡大や経済への影響について、国際社会の懸念を払拭するねらいがあるとみられます。
一方、ドイツのマース外相は13日、ベルリンで王毅外相と共同で記者会見に臨み、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けて、中国を最大限支援していく考えを示しました。
そのうえで新型コロナウイルスの感染が広がる中で、ヨーロッパでも中国やアジア系の人々が差別的な言動を受けているとされる問題を念頭に「中国の国民やアジア系の顔だちをした人々に対する人種差別や攻撃は決して許されない」と呼びかけました。
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