防衛費増額の財源を賄う増税策をめぐり、自民党の税制調査会は15日、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる案を了承しました。党内の反発に配慮し、増税の具体的な実施時期などは来年改めて議論することになりました。
防衛費の増額で5年後の2027年度以降、毎年不足する1兆円余りの財源を賄う増税策をめぐり、自民党の税制調査会は15日の全体会合で法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる案を了承し、今後の対応を宮沢会長に一任しました。
具体的には、法人税は納税額に4%から4.5%の付加税を課すとしています。
ただ、中小企業などに配慮し、法人の所得のうち2400万円相当分は税額控除の対象としています。
また、所得税は納税額に1%の新たな付加税を課すとしています。
一方、東日本大震災からの復興予算にあてる「復興特別所得税」は税率を1%引き下げたうえで、復興財源の総額を確保するのに必要な期間、課税期間を延長するとしています。
宮沢氏は15日、最長で13年になるとの見通しを示しました。
そして、たばこ税は1本あたり3円相当の引き上げを段階的に行うとしています。
そのうえで党内の「拙速に議論を進めるべきではない」といった反発に配慮して、それぞれの措置を始める時期は「2024年以降の適切な時期」とするにとどめて、具体的には決めず来年改めて議論することになりました。
自民・公明両党は16日にそれぞれ党内手続きを経たうえで、個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」の拡充などもあわせて盛り込んだ与党の税制改正大綱を決定することにしています。
自民党は、防衛費増額の財源を賄うため法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を取ることを盛り込んだ、税制改正大綱の案を了承しました。
了承された税制改正大綱の案では、防衛力の抜本的な強化に必要な財源として、5年後の2027年度に1兆円余りを確保するとして、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を複数年かけて実施するとしています。
具体的には、◇法人税は、中小企業などに配慮する措置をとった上で、納税額に4%から4.5%の付加税を課すとしています。
また、◇所得税は、納税額に1%の新たな付加税を課すとしています。
一方で、東日本大震災からの復興予算に充てる「復興特別所得税」は、税率を1%引き下げたうえで、復興財源の総額を確保するのに必要な期間、課税期間を延長するとしています。
そして、◇たばこ税は、1本あたり3円相当の引き上げを段階的に行うとしています。
それぞれの措置を始める時期は「2024年以降の適切な時期」とするにとどめています。
このほか来年度の税制改正の主要項目では、▼個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」の非課税で保有できる限度額を1800万円に拡充するほか、▼車検の際にかかる自動車重量税を減免する「エコカー減税」の期限を来年4月末から3年間延長するなどとしています。
さらに▼1年間の総所得が30億円を超えるような著しく所得が高い人を対象に3年後から課税を強化します。
大綱の案は、16日午前、自民党の税制調査会の総会に続き、総務会でも了承されたほか、公明党の税制調査会の総会でも了承されました。
両党は、16日午後、与党の税制改正大綱を決定することにします。
自民党の宮沢税制調査会長は、調査会の総会に先立って行われた役員会で「何とか税財源の話についてあそこまでピン留めができ、決めるところはあとごくわずかだ。来年のしかるべきタイミングでまた集まってもらい、最終的な詳細まで決めたい」と述べました。
自民党税制調査会の幹部を務める甘利前幹事長は、記者団に対し「問題点を洗い出し事態の緊急性に鑑みて、最終的には1つになるという責任政党たるとりまとめができた。これからは、われわれがしっかり国民に理解してもらえるように説明する責任がある」と述べました。
そのうえで、岸田総理大臣の増税に向けた指示について「党内や国内を揺るがす議論になり、岸田総理大臣自身も相当もん絶したと思う。しかし、現時点で全面的な理解が得られなくても、しっかり説明すればきっとわかってもらえると信じて決断したら、もう揺るがないという姿勢だった。岸田総理大臣の新しい一面かなと思う」と述べました。
自民党森山派の上野賢一郎衆議院議員はNHKの取材に対し「非常に緊迫した情勢の中で、防衛費はいま、しっかり確保していく必要がある。一定の財源を確保する意味で、ある程度の負担を大企業中心にお願いするのはやむをえない。国民や企業、経済界の意見も聞いて1年かけてしっかり議論しまとめていきたい」と述べました。
自民党無派閥の城内実衆議院議員は記者団に対し「例えば令和8年に世界同時不況が起きたときでも増税するのか。経済成長や雇用、物価といった経済の状況を踏まえて増税するということでないと、やっぱり納得できない」と述べました。
そのうえで、記者団が「岸田政権に影響があるか」と質問したのに対し「あるのではないか」と述べました。
自民党無派閥の和田政宗参議院議員は記者団に対し「今においても増税には反対だ。国民感覚、被災地感覚からも完全にかけ離れている。これから国民と対話をしていく中で、やはり増税はだめだと議員は再認識すると思う。それをもとに増税なき防衛費増額を実現していかなくてならない」と述べました。
#政局
自民、公明両党が16日決定する2023年度税制改正大綱案が判明した。焦点となる防衛財源では「歳出・歳入両面から安定的な財源を確保する」とし、増税について「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施し、27年度に1兆円強を確保する」と明記。税制措置は「24年以降の適切な時期とする」としている。
ロイターが案文を入手した。増税は法人、所得、たばこの3税目とする。法人税額には「税率4―4.5%の新たな付加税を課す」とし、中小法人に配慮する観点から「課税標準となる法人税額から500万円を控除する」ことも併せて盛り込む。
所得税額に対しては「当分の間、税率1%の新たな付加税を課す」とする。
一方、現下の家計を取り巻く状況に配慮し、「復興特別所得税の税率を1%引き下げるとともに、課税期間を延長する」と明記。延長期間に関しては「復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとする」と記す。
与党大綱では、廃炉や特定復興再生拠点区域の整備、特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた具体的な取り組みや福島国際研究教育機構の構築など息の長い取り組みを支援するため、東日本大震災からの復旧・復興財源について「引き続き責任を持って確実に確保する」との考えも示す。
たばこ税については「3円/1本相当の引上げを、国産葉たばこ農家への影響に十分配慮しつつ、予見可能性を確保した上で、段階的に実施する」としている。
<資産所得倍増へNISA拡充>
岸田政権が「資産所得倍増プラン」の柱に掲げるNISA拡充では年間投資枠を360万円に引き上げ、非課税期間を無期限とする。積み立て型の「つみたてNISA」は現行の年間投資枠の3倍となる120万円に拡大。一般型は2倍の240万円とし、無期限に非課税とする。生涯の課税限度額は1800万円に引き上げる。
一方、年間所得1億円超で税負担が下がる「1億円の壁」を是正するため、所得が30億円を超える超富裕層に対する課税強化を明記した。
多国籍企業の最低税率を15%とする国際合意に基づき、24年度から新制度を導入することも盛り込む。経済協力開発機構(OECD)加盟国などが合意した「グローバル・ミニマム課税制度」を踏まえ、対象会計年度直前の4対象会計年度のうち、2つ以上の対象会計年度の売上高が7億5000万ユーロ以上だった企業を「特定多国籍企業グループ」と定義。法人税負担に不足があれば本国で課税する。
自動車関連では、重量税のエコカー減税を23年末まで延長する。そのうえで35年に新車販売の100%を電動車とする目標を見据え、24年以降は段階的に燃費基準を引き上げる。
与党の税制改正大綱は、16日午後、自民・公明両党の政務調査会長と税制調査会長らが会談して決定しました。
大綱では、防衛力の抜本的な強化に必要な財源として、5年後の2027年度に1兆円余りを確保するとして、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を複数年かけて実施するとしています。
具体的には、
▽法人税は、中小企業などに配慮する措置をとったうえで、納税額に4%から4.5%の付加税を課すとしています。
また、
▽所得税は、納税額に1%の新たな付加税を課すとしています。
一方で、東日本大震災からの復興予算に充てる「復興特別所得税」は、税率を1%引き下げたうえで、復興財源の総額を確保するのに必要な期間、課税期間を延長するとしています。
そして、
▽たばこ税は、1本当たり3円相当の引き上げを段階的に行うとしています。
それぞれの措置を始める時期は「2024年以降の適切な時期」とするにとどめています。
このほか、来年度の税制改正の主要項目では、
▽個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」の非課税で保有できる限度額を1800万円に拡充するほか、
▽車検の際にかかる自動車重量税を減免する「エコカー減税」の期限を、来年4月末から3年間延長するなどとしています。
さらに、
▽1年間の総所得が30億円を超えるような著しく所得が高い人を対象に、3年後から課税を強化します。
これを受けて政府は、来年度の税制改正に向けて関連法案を、来年の通常国会に提出する方針です。
一方で、防衛費増額の財源を賄うための増税は法案には盛り込まれず、まだ決まっていない具体的な実施時期などについて、自民・公明両党の税制調査会で来年改めて議論することにしています。
政府は16日の臨時閣議で、
▽外交・安全保障の最上位の指針である「国家安全保障戦略」、
▽防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」、
▽防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」の
3つの文書を決定しました。
このうち、「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」には、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することを明記しています。
「反撃能力」を「必要最小限度の自衛の措置」と定義し、「専守防衛」の考え方に変わりがないことを強調するとともに、日米両国が協力して対処するとしています。
「反撃能力」はこれまで「敵基地攻撃能力」とも呼ばれ、政府が法理論上、自衛権の範囲内に含まれるとしながらも政策判断として保有しないとしてきた能力で、日本の安全保障政策の大きな転換となります。
また、「国家安全保障戦略」には、
▽安全保障上の課題としては中国と北朝鮮のほか、ウクライナへの侵攻を続けているロシアも新たに加えられています。
焦点となっていた中国の動向については、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述し、アメリカの戦略と足並みをそろえています。
▽防衛費については、2027年度に防衛費と関連する経費を合わせてGDPの2%に達する予算措置を講じることが明記されています。
さらに、
▽防衛装備品の移転を円滑に行うため、「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しを検討するほか、
▽新たに、経済安全保障の考え方などを盛り込んでいます。
そして、
▽サイバー被害の拡大を防ぐため、先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」の導入、
それに
▽海上保安庁について、体制を拡充し、自衛隊と連携を強化することを盛り込んでいます。
一方、「防衛力整備計画」は、期間をこれまでの「5年」から「10年」に延長したうえで、前半の来年度から5年間の防衛力整備の水準を、今の計画の1.6倍に当たる43兆円程度としています。
また「反撃能力」を行使するために敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」として、国産のミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型の開発・量産や、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得など、防衛力の抜本的な強化策が7つの分野ごとに具体的に盛り込まれています。
「多次元統合防衛力」を抜本的に強化
「国家防衛戦略」では、陸・海・空だけでなく宇宙・サイバー・電磁波の領域も含めて対処できるよう、「多次元統合防衛力」を抜本的に強化するとしています。
常設の統合司令部
具体的には、自衛隊の運用を一元的に指揮する常設の「統合司令部」を新たに設置します。現在、自衛隊の司令部は陸海空ごとに異なる場所に置かれていますが、統合司令部で一元的に指揮することによって、あらゆる事態でも迅速に作戦を行えるようにするとしています。統合司令部の設置場所や時期は検討中で、速やかに設置するとしています。
航空宇宙自衛隊
また、宇宙の領域での対応を強化するため、2027年度までに航空自衛隊は「航空宇宙自衛隊」に名称を変更します。陸海空の自衛隊の名称変更は昭和29年の発足以来、初めてです。将官を指揮官とし、宇宙の監視などを任務とする専門の部隊も創設します。
サイバー防衛部隊
サイバー領域でも対応を強化するため、自衛隊のサイバー防衛部隊などの要員を、2027年度をめどにいまの4倍以上のおよそ4000人に拡充します。その上でサイバー攻撃に対して被害を受けてからではなく、先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」について政府全体での取り組みと連携していくとしています。
情報部隊
このほか、偽の情報発信などによって他国の世論などに影響を与える「情報戦」に対処できる体制を新たに構築するとしています。
ミサイル部隊の詳細
「防衛力整備計画」では、相手の脅威が及ぶ範囲の外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を運用する部隊を編成するとしていて、2027年度までの5年間に関連する経費としておよそ5兆円を計上しています。
12式地対艦ミサイル
「スタンド・オフ・ミサイル」として、配備されるのが、射程を現在の100数十キロからおよそ1000キロに伸ばした「12式地対艦ミサイル」の能力向上型です。現在、九州と東北、北海道にあわせて5つある陸上自衛隊の地対艦ミサイルの連隊を7つにしたうえで、2026年度以降、能力向上型を順次、配備していくことにしています。防衛省関係者によりますと、新たな2つの連隊は沖縄と九州への設置を検討しているということです。また、海上自衛隊の護衛艦や航空自衛隊のF2戦闘機から発射できるようにするための開発も2028年度までに完了させることにしています。
高速滑空弾
別の「スタンド・オフ・ミサイル」として配備されるのが、音速を超える速度で滑空し、迎撃が難しいとされる「高速滑空弾」です。
射程は数百キロで、2026年度をめどに陸上自衛隊に新たに2つ設ける運用部隊に配備される計画です。防衛省関係者によりますと、運用部隊は九州と北海道への配置が検討されていて、射程を1000キロ以上にした能力向上型も配備される予定だということです。
極超音速ミサイル
さらに、射程が2000キロから3000キロとされる「極超音速ミサイル」も開発し、2030年代に配備するとしています。防衛省は「極超音速ミサイル」と、「高速滑空弾」の能力向上型を運用する新たな部隊をおよそ10年後までに陸上自衛隊に2つつくることにしています。
潜水艦・輸送機からも
このほか、「スタンド・オフ・ミサイル」を垂直ミサイル発射システムから発射する潜水艦を開発するほか、輸送機からも発射できるシステムなどを開発するとしています。これらのミサイルは、弾道ミサイルの発射基地などをたたく「反撃能力」を行使するための装備として検討されていて、配備先となる地域の理解が得られるかが焦点となる見通しです。
イージス艦や戦闘機も増強
「防衛力整備計画」では、イージス艦や戦闘機など、自衛隊の主要な装備も増強するとしています。
イージス艦
弾道ミサイルなどに対処する海上自衛隊のイージス艦は、現在は8隻ですが、10隻に増やします。
イージスシステム搭載艦
また、弾道ミサイルも含めたさまざまなミサイルへの防衛能力を高めるためとして、イージス艦とは別に「イージス・システム搭載艦」を2028年度までに新たに2隻配備します。当初は、長期間洋上に展開することを想定して、自衛隊で最大規模の船体を検討していましたが、大型化した場合、潜水艦への対処が難しくなるなどとして、規模の縮小を検討しているということです。搭載するレーダーシステムはすでに購入していますが、これとは別に2隻の船体の建造費用などとして5年間でおよそ5300億円を計上しています。
戦闘機
航空自衛隊の戦闘機については、現在の計画のおよそ290機の体制からおよそ320機の体制に増やすとしています。F15の退役を進める一方、レーダーに捕捉されにくいステルス性能などを備えたF35を5年間で65機調達するということです。
次期戦闘機
また、次期戦闘機については、F2の退役が始まる見込みの2035年までに配備を始められるよう、5年間でおよそ7700億円をかけてイギリスとイタリアとの共同開発を進めるとしています。
安全保障3文書とは
政府はアメリカの戦略文書との整合性を踏まえ、安全保障関連の3つの文書の体系や名称を見直しました。
このうち、外交・安全保障の最上位の指針である「国家安全保障戦略」は2013年に策定されて以来初めての改定です。
おおむね10年程度の期間を念頭に、外交・防衛に加え、経済安全保障、サイバーなどの政策に戦略的指針を与える文書となります。
防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」は、防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に代わる文書です。
武力行使が起きた際に同盟国アメリカなどの支援を受けつつ、日本が責任を持って対処することなど、日本が目指すべき3つの「防衛目標」を設定し、その達成に向けた方法と手段を示すものと位置づけています。
「防衛力整備計画」は、防衛費総額や装備品の整備規模を定めた「中期防衛力整備計画」に代わる文書で、計画の期間をこれまでの「5年」から「10年」に延長しています。
自衛隊の体制については、おおむね10年後の体制を念頭におく一方、防衛力整備の水準や主要な装備品の整備規模は前半の5年間を対象に明記しています。
安全保障上の課題は?
「国家安全保障戦略」は安全保障上の課題として、中国、北朝鮮、ロシアの順に記述しています。
9年前に策定したこれまでの戦略では、北朝鮮、中国の順に記述していましたが、覇権主義的な動きを強める中国への警戒感がより反映された形となっています。
また新たに、ウクライナへの侵攻を続けるロシアが盛り込まれました。
中国
中国の動向について、沖縄県の尖閣諸島周辺での領海侵入や領空侵犯を含めて、東シナ海や南シナ海の海や空で力による一方的な現状変更の試みを強化し、日本の安全保障に影響を及ぼす軍事活動を拡大・活発化させていると指摘しています。
さらに、ロシアとの戦略的な連携を強化し、国際秩序への挑戦を試みていると指摘しています。
また、台湾への武力行使の可能性を否定せず、台湾周辺で軍事活動を活発化させており、国際社会全体で急速に懸念が高まっているとしています。
その上で、「わが国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述しています。
これはアメリカの「国家安全保障戦略」の中で、中国の動きをアメリカ軍の抑止力の維持・強化にとって「対応を絶えず迫ってくる挑戦」と表現していることと足並みをそろえた形です。
北朝鮮
北朝鮮の動向については、近年かつてない高い頻度でアメリカ本土を射程に含むICBM=大陸間弾道ミサイル級や変則軌道で飛行するミサイルなど新たな態様での発射を繰り返しているとして、「わが国の安全保障にとって従前よりもいっそう重大かつ差し迫った脅威となっている」と指摘しています。
ロシア
ロシアの動向については、ウクライナへの侵攻によって国際秩序の根幹を揺るがし、ヨーロッパ方面では「安全保障上の最も重大かつ直接の脅威」と受け止められていると指摘しています。
また、日本を含むインド太平洋地域における軍事動向について、中国との戦略的な連携強化とあいまって「安全保障上の強い懸念だ」と指摘しています。
周辺の国や地域との関係は?
一方、「国家安全保障戦略」には周辺の国や地域との関係について次のように記述しています。
韓国
地政学的にも日本の安全保障にとっても「極めて重要な隣国」と位置づけています。
そして北朝鮮への対応などを念頭に安全保障面を含めて、日韓、日米韓3か国の戦略的な連携を強化するとしています。
一方、日本固有の領土である島根県の竹島の領有権問題は日本の一貫した立場に基づいて毅然と対応し、平和的に解決するため、粘り強く外交努力を行う方針を示しています。
台湾
民主主義を含む基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人の往来がある「極めて重要なパートナーであり、大切な友人」としています。
そして、台湾海峡の平和と安定は国際社会の安全と繁栄に不可欠で、台湾問題の平和的解決を期待するとの立場でさまざまな取り組みを継続していくとしています。
反撃能力
敵の弾道ミサイル攻撃などに対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」を保有する理由やその定義、それに装備については次のように盛り込まれています。
保有の理由
保有の理由として、極超音速ミサイルや、弾道ミサイルが大量に撃ち込まれる「飽和攻撃」など日本へのミサイル攻撃が現実の脅威となっている中で、迎撃による今のミサイル防衛だけで対応することは難しくなっていると指摘しています。
その上で、ミサイル防衛を強化して、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からのさらなる攻撃を防ぐため「反撃能力」が必要だとしています。
反撃能力の定義
「反撃能力」を、「やむをえない必要最小限度の自衛の措置として相手の領域でわが国が有効な反撃を加える自衛隊の能力」と定義しています。
行使のタイミングは、武力行使の3要件に合致した場合で、武力攻撃の手段として弾道ミサイルなどによる攻撃が行われた場合としています。
一方、反撃能力は憲法や国際法の範囲内で行使され、先制攻撃は許されないとして、専守防衛の考え方に変わりがないことを強調した上で、日米が協力して対処するとしています。
反撃の対象は具体的に明示されていませんが、文書に関して続けられてきた自民・公明両党の実務者協議では、政府側は、国際人道法を踏まえて反撃の対象は「軍事目標」に限られ、相手の攻撃を防ぐのにやむをえない必要最小限度の措置とすると説明しています。
反撃能力の装備
「反撃能力」を行使するための装備として敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」の研究開発や量産を前倒しして、2027年度までに早期の装備化を推進し、おおむね10年後までに十分な数量を保有するとしています。
具体的には、射程を大幅に伸ばした陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の改良型と、島しょ防衛に使う「高速滑空弾」の開発を進めて配備を2026年度から順次始め、音速の5倍以上の速さで飛行する「極超音速誘導弾」などの開発も進めるとしています。
また、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」をはじめとする外国製のミサイルの着実な導入も進めます。
「トマホーク」の配備は2026年度からを予定し、艦艇への配備を検討しているということです。
このほか、潜水艦に搭載可能な垂直型のミサイル発射システムを開発するほか、「スタンド・オフ・ミサイル」を保管するための火薬庫を増設するとしています。
与党協議は
「反撃能力」の保有は防衛力強化に向けた自民・公明両党の実務者協議で先月25日から議論が始まり、3回の協議を経て、今月2日に合意に至りました。
協議の過程で自民党は「現在の装備では国民の安心を確保できず、反撃能力は必要だ」と主張したのに対し、公明党は「戦後、長い間、政策判断として保有してこなかったものを変更するものになる」として丁寧な議論を求めました。
また、公明党は「反撃能力の行使は自衛権行使の一環であることをしっかり強調してほしい」として、敵から攻撃を受けた際などに作る「対処基本方針」の中で、事態認定の経緯や前提となった事実を明確に盛り込むよう求めました。
両党の協議では、日本が直接攻撃されていない、同盟国アメリカなどへの武力攻撃にも、集団的自衛権の行使として反撃能力を発動することも排除しないことを確認しました。
防衛費増額 岸田首相が主導
防衛費の増額について、岸田総理大臣はたびたび「内容と予算と財源の3点をセットで議論する」と説明してきました。
決定にあたっては岸田総理大臣みずからが主導し、相次いで3回にわたって閣僚や自民党に指示を出す形で進められました。
来年度から5年間の防衛費をめぐり、当初は防衛省が48兆円程度が必要だとする一方、財務省は30兆円台半ばに抑えたいとして双方の隔たりは10兆円を超えていました。
1回目の総理指示は先月28日。
岸田総理大臣は浜田防衛大臣と鈴木財務大臣を官邸に呼び、5年後の2027年度に防衛費と関連する経費もあわせてGDPの2%に達する予算措置を講じるよう指示しました。
5年後に到達すべき水準を明確に示すことで、両省の歩み寄りを促した形で、幅は40兆円から43兆円程度まで縮まります。
2回目は今月5日。
岸田総理大臣は再び両閣僚を官邸に呼び、来年度から5年間の防衛費について総額およそ43兆円を確保するよう指示し、防衛費の大枠が決着します。
3回目は今月8日。
岸田総理大臣は防衛費増額で不足する1兆円を超える財源として与党に対し、年末までに税目や施行時期を含めて増税を検討するよう指示しました。
税制改正大綱の決定を翌週に控えた中で、直前に与党にとりまとめを迫った形です。
わずか10日程度のうちに3回にわたって総理指示を出すことで、防衛費増額に向けた道筋がつけられました。
「GDPの2%」「43兆円程度」
3つの文書の中には、今後の防衛費増額の目安として2つの数字が明記されています。
1つは「国家安全保障戦略」に明記されている、2027年度に防衛費と関連する経費をあわせて達成する予算措置の「GDPの2%」。
もう1つが「防衛力整備計画」に明記されている、来年度から5年間の防衛力整備の水準「43兆円程度」です。
いずれも岸田総理大臣が指示した数字です。
GDP2%の内訳は
GDP2%は現在のGDPをもとにした目安で計算すると11兆円程度になります。
政府は、このうち防衛費で9兆円程度関連する経費で2兆円程度を見込んでいます。
防衛費9兆円の内訳は
▽今の防衛費の水準の5兆2000億円に加え
▽歳出改革で1兆円余り
▽年度内に使われなかった「決算剰余金」の活用で7000億円程度
▽国有資産の売却などで得られる税外収入などをためておき防衛力整備にあてる「防衛力強化貸金」で9000億円程度で、
それでも不足する1兆円余りを増税で賄う方針です。
また関連する経費2兆円の内訳は、海上保安庁の予算などNATO=北大西洋条約機構の基準を参考にした他省庁の予算に加え、新たに研究開発、公共インフラ、国際的協力、サイバー安全保障の4つの分野をあてることにしています。
これらをあわせてGDPの2%にあたる11兆円を達成することにしています。
43兆円の内訳は
来年度から5年間の防衛力整備の水準の43兆円程度の内訳について、政府は40兆5000億円程度は各年度の当初予算で措置するほか、自衛隊の隊舎や宿舎などを整備するためにあてる1兆6000億円程度の財源については公共事業に使われる「建設国債」をあてる方針です。
建設国債はこれまで防衛費にあてることは認められておらず、国債発行のあり方を転換することになります。
財源確保の課題
政府はこのように防衛費増額の財源を確保する方針ですが、高齢化の進展による社会保障費の増加や、少子化対策のためのこども子育て予算の増加など、防衛費のほかにも重要な課題解決に向けて歳出の増加圧力が強まる中、歳出削減は簡単なことではありません。
政府は歳出改革の具体的内容を現時点では明らかにしておらず、思うように財源が捻出できるのか、不透明な状況です。
「国家安全保障戦略」などの3つの文書の決定を受け、岸田総理大臣は、記者会見し、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」は、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となり、今後、不可欠になる能力だと必要性を強調しました。
また、防衛費の増額は安定的な財源で賄うべきだとして、増税への理解を求めました。
この中で、岸田総理大臣は、防衛力強化を目指す背景について、ロシアのウクライナ侵攻を含めた国際情勢に触れたうえで「わが国の周辺国や地域でも核・ミサイル能力の強化、急激な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みが一層、顕著になっている」と述べました。
また「現在の自衛隊の能力で脅威が現実となったときにこの国を守り抜くことができるのか、極めて現実的なシミュレーションを行った。率直に申し上げて現状は十分ではない」と指摘しました。
そして、求められている能力として、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」の保有や、宇宙やサイバー、電磁波などの新たな領域への対応、それに南西地域の防衛体制強化の3つをあげたほか、弾薬の充実や自衛隊員の処遇改善などを実行していく考えを示しました。
このうち「反撃能力」の保有について、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となり、今後、不可欠になる能力だと必要性を説明しました。
そのうえで、5年後の2027年度には、GDPの2%に達する防衛費の増額を目指す方針を重ねて示し「NATO=北大西洋条約機構をはじめ各国は、安全保障環境を維持するために経済力に応じた相応の防衛費を支出する姿勢を示しており、こうした同盟国・同志国などとの連携も踏まえ取り組みを加速していく」と述べました。
そして、岸田総理大臣は、防衛費増額の財源について、およそ4分の3は歳出改革などの努力で確保する道筋がついたと強調しました。
そのうえで「残りのおよそ4分の1の1兆円余りについてはさまざまな議論があった。私は内閣総理大臣として、国民の命、暮らし、事業を守るために防衛力を抜本強化していくための裏付けとなる安定財源は、将来世代に先送りすることなく、今を生きるわれわれが将来世代への責任として対応すべきものと考えた」と述べました。
また「防衛力を抜本的に強化するということは端的に言えば戦闘機やミサイルを購入するということだ。これを借金で賄うことが本当によいのか自問自答を重ね、やはり、安定的な財源を確保すべきであると考えた」と説明しました。
さらに「これらの措置は来年から実施するわけではない。しかし、将来、国民に負担をいただくことが明らかであるにもかかわらず、それをことし示さないことは、説明責任を果たしたことにはならず、誠実に率直に示したいと判断した。今の平和の暮らしを守り未来の世代に責任を果たすために協力をお願いする」と述べ、増税への理解を求めました。
そして、安全保障関連の3文書について「戦後の安全保障政策を大きく転換するものだ。もちろん、日本国憲法、国際法、国内法の範囲内での対応であるのは言うまでもなく、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての日本の歩みは今後とも不変だ」と強調しました。
プロセスに問題があったとは思っていない
岸田総理大臣は「3文書の決定や防衛力の抜本強化に向けては1年以上にわたる丁寧なプロセスを行ってきた。プロセスに問題があったとは思っていないが、国民の皆さんからさまざまな意見や指摘があることは政府としてしっかり受け止めなければならない。引き続き丁寧な説明を心がけて実行していかなければいけない」と述べました。
3文書を踏まえ日米間で緊密な協議 行っていく
日米ガイドラインの扱いについては、「現時点で何ら決まっていることはない。まずは今回策定した3文書を踏まえ、日米間のあらゆるレベルで緊密な協議を行っていく。国家安全保障戦略でも『日米同盟はわが国の安全保障政策の基軸であり続ける』と記しているように、引き続きさまざまな分野における日米防衛協力をさらに推進し、日米同盟の抑止力、対処力を一層、強化していきたい」と述べました。
中国の動向 挑戦が多岐にわたる分野のものと認識
また、「国家安全保障戦略」で中国の動向を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述したことについて「わが国の平和と安全や国際社会の平和と安定の確保のみならず、挑戦が多岐にわたる分野においてのものであるといった認識に基づいて記述した」と説明しました。
一方で「『国家安全保障戦略』では、同時に日中両国は地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有していることや、建設的かつ安定的な関係を構築していくことは国際社会の平和と安定にとっても不可欠であること、そして経済、人的交流などの分野で双方の利益となる形で協力は可能だということも明記している」と述べました。
防衛装備移転三原則は与党と調整
そして、「防衛装備移転三原則、運用指針をはじめとする制度の見直しについては与党と調整を丁寧に進めながら結論を出していかなければならない課題だ。この課題の重要性はしっかりと指摘をしたうえで、具体的な対応については与党と調整を行っていく」と述べました。
また、反撃能力について「どのように具体化していくのかが問われている。今回、3文書の策定によって整理したので、それに基づいて国民の命を守るために必要な措置、具体的にどうするかしっかり考えていきたい」と述べました。
沖縄の米軍駐留 重要性はさらに増している
また、「自衛隊の部隊増強により、南西地域の防衛体制を強化していく考え方を3文書の中でも示している。同時に安全保障上極めて重要な位置にある沖縄にアメリカ軍が駐留することは日米同盟の抑止力、対処力を構成する重要な要素であり、現下の安全保障環境ではその重要性はさらに増している」と述べました。
そのうえで「沖縄の負担軽減を図ることは政府の責任だ。普天間飛行場の返還をはじめとする嘉手納以南の土地の返還、アメリカ海兵隊のグアム移転などについて可能なかぎり早期の実現に取り組んでいく。地元の皆様に丁寧に説明していく努力はこれからもしっかり進めていかなければいけない」と述べました。
経済政策で負担感を払拭できるよう努力していく
さらに「復興特別所得税」の税率を引き下げたうえで課税期間を延長するとしていることについて「長期的には負担が増えるのではないか」と質問されたのに対し「経済成長と賃上げの好循環を実現し、持続可能性をしっかりと回復させる。こうした経済政策全体の中で負担感を払拭(ふっしょく)できるよう努力していく。こうしたことを進めることで国民の理解を得ていく努力をしていかなければならない」と述べました。
復興財源 総額は全く変わりはない
また「復興財源については総額は全く変わりはない。引き続き、息の長い対応でしっかり支援していかなければならず、こういった姿勢を政府として示していくことも大事だ。被災地の方々に寄り添った政府の姿勢や説明がこれからも重要だ」と述べました。
数字ありきの議論ではなく防衛力抜本強化の内容の積み上げ
そして「数字ありきの議論をしてきたということはない。まず行ったのは、防衛力の抜本強化の内容の積み上げだ。結果として、5年間で緊急的に整備すべき防衛力整備計画の規模と、5年後の2027年度に達成すべき防衛費の規模を導き出した」と説明しました。
また、NATO=北大西洋条約機構もGDP比2%の国防費の確保を目標にしていることにも触れ「国際社会の協力が重要だという日本の姿勢を示すうえで、GDP比で見ることは指標の1つとして意味がある」と述べました。
増税の必要性指摘した発言 誤って発表 “事務的なミスが原因”
さらに、自民党役員会で防衛費増額の財源を賄うための増税の必要性を指摘したみずからの発言を自民党が一部誤って発表したことをめぐり「私は『国民の皆様の平和で豊かな暮らしを守るために今を生きるわれわれが未来の世代に責任を果たすためにご協力をお願いしたい』と申し上げた。これが事実だ」と述べました。
そのうえで「発言の紹介のそごは事務的なミスが原因であり、今後はこのようなことがないよう徹底していきたい。ぜひ私たちの世代が責任を果たしていく大切さを訴えた、私のこの思いを国民にもご理解いただき、ご協力いただきたい」と述べました。
専守防衛 今後も変わらず
また「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その対応も自衛のための必要最小限にとどめ、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢だ。これは、わが国の防衛の基本的な指針であり、今後も変わらない。『反撃能力』についてもこの考え方にのっとっていて、今後も専守防衛は堅持していく」と述べました。
防衛力の強化 経済活動に資する
そして、法人税増税による経済への影響について「決して過小評価しているわけではない。防衛力の強化はシーレーンの確保、サプライチェーンの維持、抑止力の強化による市場かく乱リスクの低減という経済界にとっても円滑な経済活動に資する課題でもある。こうしたことをしっかりご理解いただき、余力のある方々にはできるだけご協力をいただきたい」と述べました。
政府は、安全保障上重要な施設の周辺の土地利用を規制するための法律がことし9月に施行されたことを受けて、16日、規制の対象となる区域を指定するための審議会を開きました。
冒頭、高市経済安全保障担当大臣は「安全保障の観点から土地や建物の利用をどのように管理すべきかという課題の解決に資する大切な1歩だ。土地や建物の利用状況調査を着実に実施していく」と述べました。
審議会では、先に示された北海道、青森県、東京都、島根県、それに長崎県の5つの自治体の国境に近い離島や自衛隊施設の周辺から
▽「特別注視区域」として29か所、
▽「注視区域」として29か所の候補地を
正式に規制対象区域に指定することを決定しました。
審議会では今後2年ほどかけてさらに区域の選定を進め、最終的には全国でおよそ600か所の指定を目指すことにしています。
日本に避難してきたウクライナの人たちに生活費などを支援している日本財団は、先月下旬から今月12日にかけて避難者を対象にオンラインでアンケートを行い、10代から80代の750人が回答しました。
このうち帰国の意思を尋ねた質問では「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」が40.8%、「できるだけ長く日本に滞在したい」が24.7%で、「なるべく早く帰国したい」は2.3%などでした。
また、現在の就労状況について尋ねたところ「働いている」が39.1%、「働いていない」が60.9%でした。
「働いていない」と答えた人の中で「仕事を探している」と回答した人は6割近くいたということです。
このほか、必要な支援を聞いたところ「遊び、観光」が55.9%と最も多く、次いで「仕事の紹介、職業訓練」が39.2%などとなりました。
日本財団はことばの問題で就労できないケースもあるとみられるとしています。
出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人は、今月7日時点で2179人いて、ロシアによる軍事侵攻が始まっておよそ10か月となり、避難生活が長期化するなか、仕事を求めている人の就職の支援などが課題となっています。
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